ある本を読んでいたら、気になる一文を見つけました。
それが、
『リアクションは「愛」』
この本自体はいわゆるビジネス書で、この文章も円滑な会話の進め方のひとつとして大きめの反応をしたりその話題について質問したり興味を示すといった意味の文脈で出てきたものです。
つまり、相手を大事に思っているという表現手段としてのリアクションについて書かれていました。
しかし僕は演劇に携わるものとして、この文章に別の意味を見出してしまいました。
それはもちろん、お芝居においての「リアクション」。
そしてこの場合においても『リアクションは「愛」』というのはそのまま当てはまるように感じます。
お芝居におけるリアクションというのは、何かの行動(アクション)に対して何らかの反応を示す行動(リアクション)全般を言います。
(厳密には最初のアクションも何かに対するリアクションであることがほとんどです。)
で、この二つを比べるとアクションよりリアクションの方が大事だったりします。
「アクション<リアクション」ですね。
なぜかというと、、、
例えば、Aという登場人物がいてこの人が「怖い人」だとします。
お話的にも観客に「怖い人」として認識してもらう必要があります。
その場合、本人が「俺は怖いんだぞ!」と言ったり何か暴力的なことをして怖さを表現してもあまり伝わりません。
むしろ「かわいそうな人?」とか誤解されかねません。
それよりも周りにいる人がリアクションとして怖がったり、第三者に「あの人はね…」と怖さを伝えた方がちゃんとAが「怖い人」として認識されやすくなります。
例としては単純すぎますが、このように周りのリアクションで表現した方が正確に伝わります。
また殺陣とかでも、片方が斬ったつもりでも斬られた方が微動だにしなかったらその瞬間破綻しますからね。
殺陣といえば先日行った殺陣稽古でテーマが「みねうち」だったのですが、練習中に主役の人が遊びでものすごく大げさに刀を構えなおし”みね”側に替えた時、僕が「なめやがってぇぇぇえええ」みたいなテンションでかかっていったら「反応してくれた(笑)」と言いながらめっちゃ喜んでくれていました。
みねうちは相手を殺さないので、殺す気で来ている敵に対して「手加減してやる」みたいに受け取られる可能性もあるわけです。
僕はこれに対して反応してお芝居的にテンション上げたわけですが、その結果稽古用の殺陣(段取り)に一つの物語性が生まれたわけです。
このように、リアクションするということは相手役の印象にも影響するし作品そのもののクォリティにも影響します。
相手役のことを考え作品全体のことを考える、つまり他の登場人物や俳優や作品そのものへの「愛」がリアクションを生み、そのリアクションがお客様に表現を伝える手段となるのです。
周りへの愛がなく自分が目立つことだけを考え「俺が俺が」とアクションばかりしていては、目立つものも目立たなくなってしまいます。
やっぱり、『リアクションは「愛」』なのです。
なんてことをビジネス書読みながら考えていた週末なのでした…(笑)
ちなみにこの文章見つけた本です↓